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美術館「えき」KYOTO  「鏑木清方の芸術展」

美術館「えき」KYOTO  「鏑木清方の芸術展」_c0066392_15432760.jpg

年末から楽しみにしていた「鏑木清方の芸術展」へ行って来ました。
もうずいぶん昔に清方の絵を見てから、
その優美さ、艶やかさ… 
清方の描く、ため息が出るほど美しい女性に憧れてきました。
(ちょっとヘン?)

今回は清方が挿絵画家として活躍していた頃の木版画を中心に、
100点ほどの作品を見ることが出来ました。
今回のポスターにもなっている「朝涼(あさすず)」ですが、スケッチも合わせて展示されていました。
スケッチは、ただの横からの立ち姿なのですが、
作品は三つ編みにした髪を両手で遊ぶようなしぐさになっています。
夏の早朝、露をためた蓮、白い残月。
それらすべてが「静」なのに対して、しなやかな指と毛先だけが「動」
昔見たときはとても地味に見えたのですが、
このモデルが清方の娘と知って、清方の暖かい眼差しを感じました。

今回、舞妓と町並みを描いたスケッチブックも展示されていたのですが、
スケッチの生き生きとした線描写に、ワクワクしてしまいました。
作り上げられた作品が素晴らしいのは当然のことなんですが、
筆の勢い、速度とか筆圧とか、そういうものが直に伝わってくるスケッチが大好きです。
そこに、その人をリアルに感じてしまうからでしょうか。
ガラスケースから取り出して、ページをめくり衝動にかられました。^^

清方は挿絵画家として出発したのですが、当時はその挿絵によって
本の売れ行きが変わるほど重要だったようです。
当初は木版だったので、清方の原画と木版になって刷られた絵、
それに彩色をほどこされたものなど、見比べられるような展示もありました。

清方は樋口一葉の大変なファンだったそうですが、一葉が24歳で亡くなったとき、清方はまだ19歳。
ついに会うことはありませんでした。
後に清方は、一葉の墓に「たけくらべ」の「美登里」を登場させ、
墓石に添わせる「一葉女史の墓」という絵を描いています。
もう少し長く一葉が生きていたら、一葉の文学に清方が挿絵を描くこともあっただろうと思うと、
少し切ない気持ちになります。
でも叶わなかったことだからこそ、これほどまでに崇高な絵が描けたのでは?と思ったりもします。
清方は「一葉女史の墓」の他にも「美登里」を描いていますが、
一葉にすれば、こんな幸せはないだろうなぁと思いました。

会期は1/27まで。
by escabeche | 2008-01-16 15:43 | 美術鑑賞
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The key to success is starting and not stopping.言うは易し行うは難し。でも、まっ、取り合えず一杯いっとこか~。


by shino
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