待月
昔から浮世絵と美人画が大好きなんですが、私が今まで見てきた絵の中で
一番好きなのが、上村松園の「待月」です。
(私のメルアドのmachizukiはここから頂いたんですよ~)
初めて「待月」を見たのが二年前。
衝撃的でした。
その時の私は、きっと口をぽか~んと開けていたに違いありません。
そしてまた、京都市美術館に「待月」が来ているというので行って来ました。
細身の女性。
優しい頬。
柔らかな後れ毛。
白いうなじから、細い肩への線。
グレーの絽の着物の袖口から少しだけ覗く赤い柄の襦袢。
しなやかな手に持たれたうちわのエは、女性の手と同じく細く繊細で、
花百緑色の模様が、帯の色と同じで涼やかでモダン。
絵の中の女性と一緒に、自分も月を探してしまう。
月を待ってるのか、あるいは誰かの来るのを待ってるのか…
恋しいものを待つ姿は、美しくて優しくて、ちょっと淋しげ。
人物の真ん中を支柱が貫いてるということで、識者に批判されたためか
支柱が端に配されている「良宵之図(りょうしょうのず)」という
女性が横を向いている絵があるんです。
実物を見たことがありませんが、私はずっとこの「待月」の方が自然で好きです。
この絵の前に来ると、立ち去り難い気持ちになります。
月が登ってくるのを、ずっと一緒に待っていたい。
そんな気持ちになります。
機会があったら、ぜひぜひ見て下さい。
by escabeche
| 2006-02-17 20:54
| 美術鑑賞